俺のもんやから。




「…以上を持ちまして、第二学期始業式を閉会します。最後に教頭先生からお話です。」



まだまだ残暑が厳しいなか、体育館に集められた全校生徒。


ハゲた頭から滴る汗を、ハンカチで拭きながら登場した教頭を見てると暑さ倍増。



「えー、2年2組の担任の松原先生が産休に入られたため、代わりの先生がいらっしゃいましたので紹介します。…夏木先生です。松原先生が担当していた1~5組までの英語を教えてくださいます。じゃ夏木先生、一言。」



そう言われて、体育館の端から出てきた人を見て息をのんだ。


周りからは、『かわいい』と言う声が多数あがる。


たしかに可愛い。


けどなんか違う。


そんなもんじゃなくて、彼女のすべてに一瞬にして心を奪われた。



「夏木友里です。短い間ですが、よろしくお願いします。」



たった一言。


ありきたりな言葉。


でもなんやろ…この感じ



「…たく?おい、拓人ー」

「え、あ、なに?」

「教室戻んで。始業式も先生の紹介も全部終わったから。」

「…あーうん」



やばい、いつ終わった?


気がついたら、周りは動き始めていてガヤガヤと騒がしくなっていた。


全然気づかんかった…