ガラガラガラ…
英語科研究室のドアをあける。
「2年2組のはー、これこれっ」
だれもいないみたいで部屋に先生の声が、響く。
ドクン…ドクン…
触れたい…
手を伸ばせば届く距離。
「これ一人で持て……っ!ど、どしたん?」
振り返ろうとしたその時、理性を保てなくなり、後ろから抱きしめてしまった。
「…清野くん?」
頬を真っ赤に染めて、見上げられる。
突き返されないで、抱きしめたままでいるこの状況。
ほんの少し期待してしまう自分がいる。
…嫌がられてない?
「チャ、チャイムなる…」
もう少し、もう少しこのまま…
キーンコーン……
「…ごめん。これ持ってったらいいんやんな」
チャイムがなり理性をなんとか取り戻し、離れてワークを指す。
「…あ、うん」
「…そんな顔すんなや。期待するし。あと他の生徒の前で笑わんといて。…じゃ、先行くわ」
「ちょっ…」
後ろから声が聞こえたけど、このままここにいたらどうなるかわからんかったから、そのままその場をあとにした。

