あれから、俺と友里は完璧な生徒と先生に戻っていた。
とはいえ、元々学校ではなにもしてなかったけど。
目が合っても、すぐそらすようになった。
今までは、恥ずかしそうに微笑みかけてくれてたのに。
俺たちのつながりは、たったひとつ夜の電話だけ。
一日も欠かしたことはない。
夜の10時から1時間程度、その日あったことやドラマ、バラエティ番組などの話をするだけ。
あとは、最後に必ず友里が好きやで。たっくんは、私のもんやから。というようになった。
『あ、もしもし?テストおつかれー。』
「ほんま疲れたわ。ていうほど勉強してないけどな。」
いつもと変わらない電話。
『なぁ、たっくん?』
「ん?」
いつもと変わらない電話じゃない。
なんていうか細い声。
少し震えてるようにも聞こえる。
「会いたい…ぎゅって抱きしめてほしい。
たっくんに会いたい。」