はぁ。


生物室から逃げるように出てきて、一番に出たのは大きなため息だった。


やけに疲れた。


あの空間にいるだけで、背筋が伸びて手に汗握った。


柴原先生は、170センチくらいでくっきり二重と女みたいなぷっくりした唇が印象的。


整ってる顔は、かっこいいよりも断然かわいい感じ。


なのに、醸し出されるオーラは全然かわいくなくてむしろ逆だ。


なんだか見透かされてるような、鋭さがあった。


とにかく今日の一件をもって俺は、柴原先生のことが苦手だ。と、確信した。



「遅かったなー。ほい、焼きそばパン。」

「さんきゅ。」



教室に戻り、昼休み限定販売の手作りパンをマツから受け取りかぶりつく。


そんな俺を目を丸くして見ているマツが小声で



「あ、紅ショウガ…」



と、いっていたが、今日は特別だ。


いつもは、苦手で食べられない紅ショウガも気にならない。


というより、頭の中は焼きそばパンよりさっきのことでいっぱいで味がわからないといったほうが正しいのかもしれない。