「話、それだけですか?もう帰っていいですかね。」
「ま、あっさり認めるわけないよな。せやけど、これだけは言っとく。お前より俺の方があいつのことよく知ってる。」
だから何なんだ。
知ってるからなに?
そりゃ俺なんか、出会って間もないし先生の友里しか知らん。
学生やった頃は知らんけど、それでも俺は今の友里が好きなんや。
「そんな眉間にしわ寄せんなって。わかりやす。そんなんやったらすぐ周りにバレんで?」
くすっと笑う余裕綽々な態度に余計に腹が立つ。
子供やって見下されてるのがむかつく。
それ以上に実際ほんまに子供な自分がむかつく。
「ご心配には及びません。柴原先生がお考えになっているようなことはなにもないので。では、失礼します。」
これが俺の精一杯。
拳をギュッと握りしめて、唇をギュッと噛み締めて…背後から聞こえたクスッという笑い声に耐えた。

