「あ、マツおはよー!」
「おはよーっ」
教室に入るなり、クラスの女子からのあいさつが飛び交う。
「おっはよー!…お、いいのもってるやん。貸して貸して。」
「あ、いーよー!これめっちゃいいにおいやねんっ」
明るく返事して、女子が使ってた清涼製品を借りるマツ。
ほんと、みんなに好かれてる。
こんなふうになれたらな。て、しばしば思う。
ガラガラガラ…
「おはよー!」
今日もキラキラの笑顔で教室に入ってきた先生。
あ、今日は髪巻いてたんや。
さっきは、余裕なくて見れんかった。
落ち着いた濃いめの茶色い髪は、大人っぽくみえる。
けどそれはどこか、背伸びしてるようにも見える。
あの無邪気な笑顔はとても24歳には見えない。
「じゃあ、朝のHRはこれで終わりです。1時間目、英語やねんけど。ワークノート届いてて、取りに来てほしいから、悪いけど日直さん一緒にきて。…今日の日直はー、清野くん!よろしくな。」
そういって、向けられた笑顔にドクンと胸が高鳴る。
「たく、よかったやん。」
「うっせー。ばか。」
「照れんなって。」
意地悪い笑みをこぼすマツを軽く睨み、席を立ち先生についていく。

