俺のもんやから。




「うわっ暗っ!」



おはようのかわりに頭から降ってきた声に振り返る。



「なんかあったん?」



靴を履き替えながら訪ねてきた相手はマツやった。


返事する元気もなく、ただ頷いた。


今は、話すこともめんどくさい。


ただただ、HRで会ったときどんな顔したらええんか、それしか考えられへん。


そんな俺の様子を見て、何か感じ取ったんかやけに明るい口調で言い、俺の肩をポンと叩いた。



「ま、今日1日考えたらええやん。今日は出張で学校にいてへんし。」



あーそっか。考えたらいい…


って、ん?


あいつ今なんて言った?



「その顔はもしや…聞いてなかったんやな。昨日帰りのHRで言ったやん。」



知らん。そんなん知らん。


聞いてへんて。


トボトボと廊下を歩く俺の横を楽しそうに鼻歌を歌っているマツに思わずイライラしてくる。



「なぁ。なんで楽しそうやねん。」

「ん?そんなん決まってるやん!拓人が恋煩いとかレアやし。これ以上におもろいことないわ。」



そう言ってスタスタと俺を抜かして歩いていった。


性格わりぃ。