「あ、切れた。出んでいいん?」
「んー」
そりゃ出たいけど、ここじゃ危険やん!
かと言ってトイレで電話も危ないやん!
どこにだれがいて聞いてるかわからん。
「意外と慎重やねんな。」
意味深な言葉に意味深な笑み。
もしかして気づかれてる…?
いや、まさかな。
とりあえずメールだけでもいれとこう。
あーもういつになったら帰れるんよ!
「ねぇねぇ、柴原先生て彼女いないのぉ?」
そういって聖也の腕に絡みつく、だいぶ目が座り始めてる2年目の新米教師。
東京出身とやらで、標準語やねんけどなんかむかつく。
彼女のしゃべりかたは上からものをいわれてるような気がして不快感を抱かせる。
「今はおらんなぁ。好きな人はおるけど♪」
…なぁあああ!!!!
こっち見んなあほ!
「えっ夏木先生?」
「ちゃうちゃうちゃうちゃう!」
「えーなんで夏木先生そんな焦ってるんですかー?怪しーいっ!」
だからちゃうって!
てか何墓穴掘ってんねん!あたし!
聖也の肩にのせていた頭を上げ、あたしの方をジーッと見つめて…いや確実に睨んでる。
全力で拒否ってしまったばっかりに余計怪しまれるという始末。
ほんまツイてない。
あたしはどこまであほやねん。