「冷酷王子…。」
通りすぎてから聞こえてきた男子の声。
「ん?なにそれー。」
「今の清野拓人やろ。冷めてるてか、なんか近寄りがたいオーラあんねんな。入学当初は王子王子言われて、めっちゃモテとってんけど。…な?」
「なんかなー、気がついたら冷酷王子になってたよな。」
人のことベラベラ話すなや。
お前らは俺の何を知ってんねん。
「冷酷王子かー。へぇ…うちのクラスに王子さまおったんやなっ」
先生がなんて答えるのか気になって、わざとゆっくり歩いてた俺は思わず足をとめた。
今、なんて言った?
王子さまってなんやねん。
冷酷王子て悪口ちゃうん?
それやのに、なんなん。
…調子狂うわ。
「よっ!こんなとこで何してんねん。」
「え、あー。おはよ。」
教室の一歩前で止まってた俺の後ろからマツがやってきた。
「朝練か、おつかれ。」
「おう。まじあちぃー」
Yシャツを第2ボタンまであけ、胸元をパタパタする姿が色っぽい。

