「友里ちゃーん、いつなったらデートしてくれるん?」

「英語のテスト満点とったら考えるわー。」



「じゃじゃ、メアド教えてや。」

「なんか用あるときは、学校に電話してくれたら、あたしにつながるで。」



朝、登校するなり目に入ってきたこの光景。


廊下で3年の男子たちに囲まれてる夏木先生。


それを横目で冷たくみつめる。


彼女がこの学校にきて10日になる。


もう見慣れたこの光景に、毎回イライラする俺はやっぱり気になってるんだな。と実感する。



はぁ。と小さくため息をつき、歩き出す。


近づいてくる男子の声。



「友里ちゃんケチー。」

「はいはい。…あ、清野くん!おはよー」



ドクン…


俺に気付いた彼女がニコッと微笑む。



「え、あーおはよう。」



今、名前呼ばれた。


名前覚えてくれたんや。


そんな些細なことに口元が緩む。