「美海。今日ってさ、」

夏が申しわけなさそうに静かに呟いた。



そう今日は



8月12日 琉生の命日。



「お墓参り行くけど夏と星も行く?」

「もちろん行くよ。」



中学から同じのあたしたちは
毎日一緒にいたから
琉生のいない生活に未だになれていない。
毎年琉生の命日には必ずお墓参りしている。



「美海はもう新しい恋しない?」

夏からの突然の質問。
悲しそうな顔してこっちを見てきた。


夏と星はあたしに新しい恋をしてほしいって言ってくる。


「しないかな…する気ない。」


もう失うだけならいらない。


永遠なんてない。信じない。


「美海…琉生を忘れようなんて
あたしも星も言わないけど
そろそろ新しい恋してほしい。
琉生は美海が幸せになるところ
みたいと思ってるよ、絶対。」


夏はいつでもあたしのことを考えてくれた。


悲しそうな顔も泣きそうな顔も


全部あたしがさせてる。


夏が羨ましい妬ましい。
星とずっと一緒で。



そう思ったときもあった。


だけどあたしが辛いとき
夏はいつもあたしを支えてくれている。


夏の今の言葉にあたしは


「新しい恋しました。応援してね」


って言える日が来るのかな…。





「失うだけならいらないの。
琉生はあたしの全てだった。
琉生のいない人生はつまらなくて
このまま時が流れて終わりにしたい。」





このときのあたしは


本当につまらない人生でいいって


思っていたよ。









キミに出逢うまでは。