蕾~桜の木の下で~

*その日の帰り道*

「あ、おい、彼方っ!!」

「なんだよ、あぶねぇな!!」

グッと肩を掴まれ、転びそうになる。
振り返ると、

「あそこ!!」

「わ、キレー...。」


綺麗な夕焼けだった。
その日の夕焼けは真っ赤で、
海の上に映る太陽は何もかも飲み込みそ
うなぐらい、でっかかくて。

(この景色、唯と見たかったなぁ。)
あれ...

「泣けよ!!」

「いや、

「泣けって!!」

「でも、

「でもじゃねぇんだよ!!
泣けよ!!」

「...っ」


本当はただ、唯が笑顔になってくれるだけで良かったんだ。
あの笑顔に包まれているだけで良かったんだ。


でもやっぱり
“彼氏に見せる笑顔”は違って。