景さんが何も言わずに居なくなったのは、
それから数日後の事だった。
…と言っても、今は制作期間中。
私は いつも景さんが呼んでくれてたから側に居たけれど、
普通マネージャーがメンバーに付きっきりに なる事は、無い。
だから、何も言わずに居なくなった と いうのは、私に何も言って行かなかった と いうだけで、
製作期間中に姿を見掛けない という事自体は、別に おかしい事では なかった。
今日は雑誌の撮影が入っていたけれど それは午後からだし…、
その時に なって居なかったら、さすがに みんな心配するだろう けれど、
今の時点では、スタッフの方から用事がない限り、景さんを見掛けない事に疑問を持つ人は、居ない。
…けれど、ずっと景さんの側に居た私に とっては、
景さんが声を掛けてくれない事が、不安で仕方なかった。
おまけに、いつまで経ってもスタジオに来る気配が ないから、電話も掛けてみたのだ けれど、
電源が切られていて、繋がらなかった。
「ヒカリさん……」
景さんの無事を祈りながら、何度目かの電話を掛けよう とした時、
後ろから私を呼ぶ、景さんの声が聴こえた。
「…サナ?」
「ヒカリさんっ!?」
「…ごめんね、もしかして また心配 掛けた?」
私の様子を見て それが伝わったのだろう、
景さんは少し困ったように、私の顔を覗き込んだ。

