「何か…、

貴史くんとは、初めて会った気が しないんですー…」




病室に戻る廊下を歩きながら、

リアちゃんが ぽつり と、言った。






「…それ、俺も思ってた。


何か………、似てる、よね」




「うん、…似てますね…」




少し考えてから、リアちゃんが言う。






「″こんな人 居るんだ″って…」




「…うん」






「え、貴史くんも そう、思ってた…?」




「…うん、思ってた」






「…それ、ほんとー?笑」




「ほんと、ほんと 笑」






「でも ほんとに……、

何て言うんだろ、不思議な感じで…。


何か、上手く言えないのが悔しいくらい。


だから、

もし貴史くんも同じ事を感じてくれてるんだったら、嬉しいんですけど」




「…うん。


多分、俺も…同じ」






まぁ、俺の場合は″一目惚れ″も入ってるんだけど…。


…でも それは、口には出さなかった。




″同じ″という言葉を聞いて、

彼女は嬉しそうに笑った。






「…こんな風に、こんな人と出会う事って、あるんですね!」




「…うん、そうだね…」






彼女の空気は、

どんな時も柔らかくて、穏やかで優しくて、居心地が良かった。


でも それは

いつか無くなってしまうんじゃないか と 思うような儚さも纏っていて、

上手く言えないけど

一種の″共鳴″のような…、

そんな物を感じたのを、覚えてる。