連れてこられた場所は、体育館裏。
時間が放課後ということもあって、人が誰もいない。
「ここなら大丈夫だな」
あなたは、何者?
転校生とか?
さっき職員室の場所聞いてたし。
「あの、助けてくれてありがとう」
こんなことを言うのも初めてだ。
「あ?あぁ…おう…まぁ、あれだ!
少し、気持ちが分かったから」
「ははっ、何だそりゃ」
お互いに笑いあう。なぜかわからないけど、笑えたんだよね。
「俺は、東之江蒼希(とうのえあおき)だ。蒼希って呼べよ。
お前は?」
「私は、天月ひより。なんか珍しい名前だね」
「そうかぁ?まっ、俺はいいよ」
何が?
最初から謎が多い人だ。


