アイツはもう帰って来ない。
分かってるから、待つ気はない。
待ってなんかいない。
ウソツケ、と詰るように都の眉が寄る。
「じゃ、何でオマエは他の男に目ぇ向けないんだよ。…言いたかねぇけど、さっきの男だって…それなりにイイ男に見えたけどな。」
「そ、それはホラ。生活に一杯一杯で恋愛なんてしてる暇ないじゃな―――」
「そうやって!バイトを理由に頑なに恋愛を拒否ってんじゃねぇか。」
都にしては珍しい大声。
何より掴まれた腕にびっくりした。
目を丸くして見上げれば、都が思いのほか真剣な顔をしていて
その顔にもますます驚く。


