「ソイツに触ンじゃねーよ。」 え? 声が聞こえた途端、目の前に迫っていた気配が消えた。 ガッと骨を打つ音がして、ジローが通路に引き摺りだした男を殴り飛ばしていた。 通路を滑った男がピクリとも動かず横たわるのを確認して、ジローが徐に私を振りかえる。 「大丈夫だったか?」 ふわりと私を包む腕。 温もりに、緊張が解け、涙が溢れてきた。