ぴっきょん★ 不意に鳴った音に男は怪訝に顔を持ち上げた。 「何今の。」 「玄関のチャイムの音!」 玄関のチャイム、変な音で助かったーっ! 男の意識が反れた隙を突いて、私は男の下からすり抜けた。 「おい。逃げんな。」 伸ばされた手を間一髪で交わし、慌てて玄関に逃げた。 「ハイ!タダイマ開けます!」 慌ててた所為で、うっかり相手を確認するとか、チェーン越しに話すとかすっかり忘れてた。 扉を開け放って、そこにいた人物に思わず顔を顰めた。