…………ジローじゃん。



もう、あんな喧嘩したし、二度と戻って来ないかと思ってたのに。

フツーに帰ってきてるし。





「ん。」

「へ?」



ジローはぼったっている私に何かを押し付けて入れ違いに家の中へ入って行った。




……なんなの一体。





ジローの消えた玄関から自分の手に視線を向けて、ぎゅっと胸が痛んだ。




――――お金



多分、ジローが引きだした分に相当する金。




これ………一体どうしたの?








……ううん、コレがどんな金かなんてどうでもイイ。




こんな……


こんな金貰ったって、

通帳の数字が戻ったって




パパとママのお金は元に戻らないんだから……!