「ふざけないでよ!大体アンタみたいな正体不明なヤツを―――」
「だから天王寺凰志郎だって。」
「名前聞いてんじゃないわよっ!」
「じゃ、他に何知りたい?全部答えてやるよ?」
そう言い返されて、逆に困った。
この場合何を聞いとけばいいんだ……。
「えと……何で家出?寮出してんの?」
「親父とちょっと喧嘩した。そんで寮に監視役送りつけてきやがって、うっせぇから。」
「へ……か、監視?……てか、お父さんと何の喧嘩したわけ?」
「遊び過ぎだってカード止められた。」
「……は?カード?」
私の怪訝な顔を勘違いしたのか、少年はイイワケがましく付けくわえた。
「脛かじりとか思うなよ?これでも親父の仕事の手伝いとかちゃんとして、マトモナ報酬分しか使ってねーんだからなっ。」
そう言い捨てて、ブツブツと続ける。
「寮を抜け出て遊んだっつっても、金は小遣い程度だし、女孕ませるよーなヘマはしねーし?成績落としてるわけじゃねーし。親の仕事も手伝う。俺の一体何が気に入らねぇんだか。」


