ケン君は、飛びついてきた萌の頭を撫でながら、心配そうに覗きこんだ。


いや、多分、心配そうに…。


傍目にはケン君が恫喝して泣かせたようにしか見えないケド……いや、多分。




「どうしたんだ?」


「ごまじっ…わだじの小町~、ヒック!…変態っ、アレッ…フェッ、ごまじがぁ~」


「「…………」」


……ノーコメント。



ケン君はぽんぽんと萌の頭を撫でて、徐にジローへ近づいた。


そしてぺこっとやっぱり礼儀正しくお辞儀を一つ。




「詳しくは分かりやせんが、萌が泣くんでアンタをここから追い出させてもらってイイっすか。」




丁寧だが、言ってるコトムチャクチャだよ、ケン君…。


ジローも二の句が告げられず、半笑いを引きつらせている。