なんとか萌をリビングに入れて、泣きじゃくるのを宥める私。


一応服を着たジローはリビングのソファーで相変わらずフテブテシイ態度。





萌によって召喚された番犬はものの十五分で駆けつけた。



「萌。」


「ぅわ~ん。ケンちゃぁん」




一応、玄関でことわりらしき挨拶を放って、勝手に踏み込んで来たのは萌の幼馴染。


兼、恋人。


ちなみにケンちゃんのケンは犬じゃないよ?


向居堅吾。


ガタイがよくて、

黒の短髪

鷹みたいな鋭い目つき

それに付けくわえて頬の傷―――


近隣、工業系男子校の学ランを着こめば、もう誰も迂闊に彼に声なんかかけまい。






でも根はすっごく礼儀正しい、常識人。



頬の傷も小さい頃、萌のお願いにより、木から降りられなくなった子猫を助けてやって引っかかれたというベタオチだしね。





そしてふわふわ萌ちゃんにゾッコンなんだ。