「俺、夏までしか生きれないんだよ。半年くらいかな。だんだん記憶がなくなる。愛実のことも忘れちゃうんだよ」
1度は止まった涙がこぼれそうになったけど。
あたしは泣かない。
泣きたいのは広臣のほうだから。
もう絶対泣かない。
『うん。だから何?そんなことであたしと別れるの?』
「そんなことって―…!!」
『あたしは広臣が好きだよ。広臣は私が嫌い?』
「好きだよ」
あたしの好きな笑顔で答えてくれたけど。
どこか寂しげで今にも泣きそうな笑顔だった。
『じゃあ別れる必要なんてないじゃん。一緒にのりこえよう?』
ついに。
広臣の目にたまっていた涙の雫が。
頬を伝った。

