愛してるの一言



ホームルームが終わって美月が私の席にきた。


「ちょっと!」


焦るように私の腕をつかみ、教室を出た。


『ちょっなによっっ!!』

「なによじゃないじゃん!!隆二くんにそっくりじゃんっ!!」


『それが…何』

「よかったじゃん」


よくなんかない
よくなんかないよ


だって…
忘れたい過去を思いだしちゃう気がして。


顔を見るたび、腕の中で眠った隆二の切ない笑顔が頭をよぎって…。


何も言わないあたしに美月は
「ごめん…」


と言って教室に戻った。