「……17歳の誕生日、おめでとう」

「……ありがとう」


優しそうにそう微笑んだ翔太は、今から私が言いたいこと、わかっていたのかもしれない。

だって、翔太の声が震えていた。いつも余裕を見せて、私を馬鹿にしてくるくせに、翔太は私のこと、本当に大事にしてくれたよね。わかってるんだ。わかってるからこそ。


「……南緒」

「……うん?」

「好きだよ」


うつむいて、私の方には決して顔を上げない翔太の、弱弱しくて震えた声が部屋に響いた。

いままで聞いたことのない、いまにも泣いてしまいそうな、そんな声が。

私は制服のスカートをぎゅっと握りしめた。逃げちゃダメだ、ここで逃げたら、何も変わらない。

私たちはもう戻れない。
関係を、変えなくちゃならない。

今度は私が2人に伝える番なんだ。