「ごめんね、マイケル……」

「ふみゅー」



僕にはそう言うしかなかった。
アレクも一生懸命探してくれた。
でも、みつからなかったんだ。

僕は、このまま猫として暮らしていくしかない。
……きっと、これが、家族に冷たくしてきた僕の罰なんだ。



そう…悪いのは僕なんだ。
アレクはなにも悪くない。
アレクは、僕に良かれと思って、僕を猫にしてくれた。
僕を想ってのことなんだから。



「マイケルーー!
ちょっとお願いーーー!」

母さんの声だ。
気持ちはすっきりしないけど、部屋にずっとひきこもってるわけにもいかない。
アレクもそれをわかってるのか、立ち上がって母さんの所へ向かい、僕もそれに着いて行った。



「あ、マイケル。
今日は、子供達が来るから、このお菓子を渡してちょうだい。
私は、いろいろと今夜の準備があるから。」

「うん、わかった。」



そんなことを言ってる側から、扉を叩く音が響いた。



「あら、もう誰か来たのかしら?
はい、はーい。」



母さんが出て行くと、そこにいたのは、近所のサマンサさんだった。



「あら、サム。
そうかしたの?」

「あのね…持って来るのが遅くなったんだけど……先日いただいたかぼちゃでランタンを作っていたら、かぼちゃの中からこれが……」

サマンサさんがポケットから取り出したのは、あのロザリオだった。



「ふぎゃあーーーー!」

僕は、夢中で駆け出しロザリオに飛びついて、それをくわえて部屋に向かってまた走りだした。
マイケルも僕の後について駆けて来る。







「やったね!マイケル!
これがあれば、元に戻れるよ!」

「にゃーにゃおーん!」

僕は何度も何度も頷いた。
アレクは、それに対してどこか寂しそうに微笑んだ。



「……魔法が解けたら……
また、君とは離れ離れになるんだね……」



(アレク……)



君もやっぱりそのことを寂しく感じてたんだね。
なのに、僕は……



僕は俯いた。
申しわけなくて、彼にあわせる顔がなかったから……