「殴られたいのですか?」

「前から酷いとは思ってたけどここまでダサいとはな」

「よし。歯食いしばって下さい。グーでいきます」

「ちょっ……………構えるなよ」



浅古“さん”の姿だったらまだ手加減出来るけど今浅古“くん”だから思いっきり殴れる




身構える私に浅古くんは苦笑い



「なんか理由でもあんの?」




その言葉に握っていた拳がほどける




理由…………そんなのあるに決まってる


好きでこんな格好しない




「私は静かに穏便に誰の目にも触れられないような生活を送りたいんです」

「けど、その格好だと逆に目立ってるぜ?」

「とにかく顔を見られたくないんです」

「顔がコンプレックスか」



あっさりと顔がコンプレックスなのを見抜かれ驚きを隠せない