先に沈黙の重さに耐えられなくなったのは彼の方だった。 「ねえ…千絵さんにとってセックスって何?」 この子はたまに難しいことを言う。 そういう所は嫌いじゃなかった。 「うーん…ストレスをぶつけるところでしか無いのかな。 寂しさとか怒りとか、昔からぶつける場所はそこだった」 「相手はいつもそれを受け取ってくれてた?」 「ううん。大体あんなものは自己満足でしかないのよ」 そっか… そう言って楽しそうに笑ったかと思うと、すぐにとんでもないことを言い出した。