社長との電話が終わってから数分後、やっと家に到着した。
「ただいま」
そう言うと、お帰りを聞く前に疲れ切ってソファーに倒れこんだ。
「どうしたの?」
「企業秘密が漏れそうになって…」
心配そうに彼が顔を覗きこんできた。
「大丈夫?」
「多分。バカな部長がうまくやってくれるはず」
ため息をつくと彼がクスクス笑った。
「千絵さんって、クールだよね」
からかう様に彼がそう言う。
「怖い?」
「ううん、想像通り。
俺、さばさばした人の方が好きだし」
「じゃあよかった」
段々勝也くんの口説き文句を軽く流すのにも慣れてきた。

