「結構まともに作れるんじゃない」 「食べてみて」 小さい子のように早くと急かしてくる。 そんな様子がすごく似合っておもしろかった。 一口だけ口に入れる。 「どう?」 「あ…おいしい」 お世辞じゃなく本心だった。 「なんかこの味、懐かしいなぁ…」 まだあたしが小さいときに、こんな味のオムレツをよく母親に作ってもらったっけ。 「これは例の憧れの人に教えてもらったんだ」 「家庭的な人なんだ」 「家庭科の先生だからね」