お皿の上の料理も無くなり、グラスも空になった。 時計を見ると、もう8時半をまわっている。 「そろそろ良い時間だし、帰ろっか」 「うん」 会計を済ませて店を出ると、外はもうすっかり暗くなっていた。 涼しい夜風が心地よい。 「手繋いで帰らない?」 冗談で言ってみたら、返事の代わりに手をとり歩きだした。 勝也くんの手は思ったより暖かい。 それに少し乾いていた。 何だかこの子の人柄そのものみたいだ。