あたしも一口コーヒーを喉に流してふうっと息を吐き、心を決めた。
急に心臓が高鳴りだす。

「この一年弱で、勝也くん本当に成長したなって思うよ。もともと考え方とか達観してたとこはあるけど。
それに、一緒にいてあたしもだいぶ変われたなと思うから、本当に感謝してる。
それに、これからも一緒に成長したいから…あたし、勝也くんの恋人になりたい」

息苦しさを覚えながら、勢いに任せて言ってしまった。

恐る恐る彼の顔を覗き込むと、驚きとも感動ともとれない、感情が読み取れない表情をしていた。

あれ、何か言葉を間違えたかなと焦りだすと、勢いよく首元に顔を埋められた。

「勝也くん…?」

「その言葉、ずっと待ってた。
あ〜…千絵さんのこと大好き」


可愛らしい言葉が聞こえた後に、体に腕を回されてギュッと力を入れて抱きしめられた。


「クリスマスの時から、はっきりした答えが出せなくて、待たせちゃってごめんね。
ほとんどあの時に心は決まってたんだけど、勝也くんの受験に差し支えしたら困るなと思って…合格した時にあたしからちゃんと言いたいなと思ってたの」

ゆっくり腕の力をゆるめて、下から顔を覗き込まれた。

改めて近くで見ると、出会った時より顔つきが凛々しくなった気がする。


「そこまで考えてくれてありがとう。
いつまで答えが出るのを待てばいいのか、正直ちょっと不安だったけど、今日の今がベストタイミングすぎて…嬉しすぎてどうしたらいいかわかんないんだけど」

状況を飲み込みきれてない様子が愛おしくなった。

「確実に言えるのは千絵さんのこと、本当に大事にする」

ニコッと微笑まれた直後、顔が近づき唇が触れた。
彼の唇の柔らかさと温度に、緊張して疲れた心が緩んでいくのがわかった。