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鍵を閉めてから、勝也くんが振り返ったタイミングで目が合うと、思わずドキッとしてしまった。

改めて2人になったら、何をどう話せばいいんだろう。

「今日は俺のわがままに付き合ってくれてありがとう」

先に言葉を発したのは彼の方。

「とんでもない。みんなでお祝いできてよかったね。
残りのコーヒーでも飲みながらゆっくりする?」

「うん、リビング行こうか」

先程までの賑やかな部屋が嘘のように静まり返っていた。

テーブルの上のお皿を片付けようとする彼の手を止めて、ソファに座るように促した。

「今日の主役は大人しく休んでて。
コーヒー持ってくるね」

食器をシンクに運んだ後、空いたグラスに氷とアイスコーヒーを入れて、勝也くんの目の前に差し出した。

「ありがとう。今日は楽しかったな〜」

「勝也くんが満足してくれてよかった。
私も楽しかった」

彼の隣に座り、横目に彼の顔を見ると、余韻に浸ってうっとりした表情をしていた。

「努力が報われて嬉しいけど、これから新しい環境で自分がやりたかったことができるってもっと嬉しいし楽しみ」

なんて真面目な返答だろう、大学時代ろくに勉強せずに過ごした若い頃の自分に聞かせてあげたい。

「やっぱりしっかりした意志を持って進学した子の言葉は違うな〜。
渡辺くんの言葉じゃないけど、考え方が大人だよね、勝也くん」

「そんなことないよ。このモチベーションが4年間続いたら褒めて欲しいけど」

少し照れたように返すと、彼がコーヒーを一口飲み込んだ。