村上と渡辺くんの差し入れのケーキを頂いて、パーティーが落ち着いたタイミングで、空気を読んでくれたのか村上が帰宅の空気を醸し出した。
「お皿洗いますね」
「あ、さっき洗ってくれたから大丈夫!」
「うん、俺が洗うから大丈夫ですよ」
私の言葉と被せ気味のタイミングで勝也くんが優しく言葉を放った。
こういう風にマイペースな風を装って気を遣えるところが好きだなと思った。
「じゃあ、秋本の言葉に甘えてそろそろ行きますか?」
畳みかけるように渡辺くんがそう言った。
「じゃあ、お願いしちゃおうかな」
時計を見ると時刻は22時。
土曜の飲み会にしては早いお開きだけど、この後あたしがどうしたいか、多分ゲストの2人はよくわかっているんだろう。
2人に感謝する気持ちと、この後どうしたらいいのだろうという気持ちで頭が混乱し始める。
流れに身を任せるのが正解だと思ったら、何も考えずに2人を送るのが正解だろう。
「うん、今日はありがとう」
心からのお礼の言葉が溢れた。

