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「それって…恋愛感情的な意味で?」

「おそらく…完全に推測なのであてにしないでくださいね!
ただあのビジュアルなのに全然女の子の影がないし、2人でいる時もニュートラルな感じというか、異性として見られてる感じが出ないというか。
ボディタッチしても性的なものを感じない反応なんです。最初は完全に恋愛対象として見られてないんだろうなって思ってたんですけど、明らかに勝也くんの話する時のテンションが高くて。
あれ、これ好きな人の話する時のテンションじゃない?って違和感持ってからそう言う風にしか見えなくなっちゃいました…」

少し行きすぎた解釈の気もするけど、思い返せばあたしが勝也くんを振り回すような行動を取った時の呆れ顔も、それが理由なら妙に納得できてしまう。

「わからなくもないかも…けど、こっちが口を突っ込むところでもないしな〜。あたしが真意を知っちゃったら、何も動けなくなる気がするから聞かなかったことにしておく」

「先輩、そういうとこ大人ですよね」

村上が可愛らしく眉を下げてそう言った。
呆れられてるんだろうか。

「無事合格したし何かしら進展させたいなと思ってるんだけど、自分から行動起こすって難しいね。村上みたく、可愛らしく顔に出やすい女の子が羨ましいよ」

「それ褒め言葉ですか?
でも、だいぶ先輩も勝也くんのことなのわかりやすいと思いますけど」

予想外の言葉に動揺してしまった。

「そうかな、そんなに違うもん?」

「はい、勝也くんに対してはかわいい女性感出てます。じゃなかったら、男の子の影なんて疑わなかったですもん。
社長のことから解放してくれたり、勝也くんに会えて良かったですね」

いつも近くにいる後輩からの言葉じゃ重みが違うなと思った。
なにも反論の余地がなさそうだ。


「そうだね。大分この一年でいい方向に変われた気はしてる」

「また進展あったら話聞かせてください」

「うん、ありがとう」


村上に背中を押されて、自分の中で覚悟が決まっていくのがわかった。