いつの間にか季節は冬。
街はイルミネーションで華やいでるけど、社会人にはクリスマスも何もあってないようなものだ。

なんて思ってたんだけど…



「千絵さん、クリスマスは何して過ごしたい?」


屈託のない笑顔で勝也君がそんなことを言い出すので、言葉に詰まってしまった。


「いや…いつも通り仕事だけど…」


「え、でも19時には帰ってこれるでしょ?
そしたらそのあとディナーぐらいはできるじゃん」


彼との生活が始まってから半年以上たつけど、ここまで年の差を感じたことは初めてかもしれない。


それはあたしだって大学生までは友達付き合いもあったし、クリスマスパーティーとかに付き合ったりもしたけどね…


「もうかれこれ6年はクリスマスを感じずに生きてきたから、何して過ごすものかとか分かんないんですけど…」


我ながら情けない発言。


それを聞くやいなや、理解できない気持ちがもろに出た表情でこんなことを言い出した。


「えーそれはもったいないよ!
せっかくのイベントなんだから。
じゃあ俺がプロデュースするから、楽しみにしてて!千絵さんは何も考えずいつも通りに過ごしてればいいから」


彼の熱意に思わずきょとんとしてしまう。


「え…うん。でもいいの?受験生的にクリスマスってないものなんじゃ…」


「一日くらい大丈夫だよ、俺がパートやめてから成績のびてるのも知ってるでしょ?」


そうなのだ、あたしの心配も裏腹に彼の受験生生活は順調だ。

…まあ一日ごとのノルマを設定してくれてる渡辺くんのおかげなのは間違いないけど。


「…まあそうよね。
わかった、こちらが受け身でよければお任せする。
24日でいいの?」


「うん!ありがとう、楽しみにしててね!」


やったーと言いながら喜ぶ勝也くんを見て、子供らしさに思わずほほえんでしまう。
と同時に少し楽しみにしている自分にも気づく。