……… 部屋に入ると、ただいまの前にお帰りを言われてしまった。 「遅かったじゃん。 また飲みにでも行ってた?」 そう言いながら心配そうな面持ちで勝也くんがこちらに寄ってきた。 時計を見ると、午後9時をまわっている。 「駅前を歩いてたら渡辺くんに捕まってね。 これ、忘れ物だって」 鞄の中からノートを取り出して、手渡した。 「あ…ありがとう。 先輩の家まで行ったの?」 「うん、でも何もされなかったわよ」 返事を聞くやいなや、彼が大きなため息をついた。