………… 午後7時半、あたしは自宅の近くの喫茶店にいた。 シュークリームがおいしいと、この辺では結構有名なお店だ。 数少ないあたしの友達と話すときは大抵ここになるのだった。 窓際の席を選んで、皮のソファに腰掛ける。 平日のこの時間帯じゃ、客はあたし以外に2人しかいなかった。 「ブレンドを一つ」 そう店員に告げると、すぐにコーヒーが運ばれてきた。 目の前に置かれたマイセンのカップを手に取り、香りを楽しむ。 たったそれだけのことだけど、すごく心に余裕が生まれた気がした。