そんな優しいゴリオと幼なじみだった私は、何をしても何を言っても全て優しく受け止めてしまうゴリオに、子供特有のライバル意識という物を強く持っていた。

今なら何でも受け止めてくれるゴリオを優しい男だと思う事が出来るが、小さな頃から何でもかんでも優しく受け止めてしまうゴリオを、打っても一向に響かない余裕こいてるムカつく男だと思っていた時期があった。

男のゴリオにどうしてそんなに対抗意識を燃やしていたのか、今では良く分からないけれど。

きっと一番身近で一番親しかったゴリオに、女だからと言って負けたくないという気持ちがあったのだと思う。


初めは一緒に始めた水泳からだった。

私とゴリオは小さい時に喘息気味だった事もあり、呼吸器官を強くするためと水泳を進められ、6才から一緒にスイミングスクールに通い始めた。

同じ時期に水泳を始めたのに、ゴリオは生まれながらに恵まれた体格と身体能力の高さを遺憾無く発揮し、あっと言う間にスイミングスクールの有望選手となった。

ジュニアオリンピックでは毎年素晴らしい成績を納め、その恵まれた筋肉に磨きをかけた。

私はと言えばそんなゴリオがとても羨ましく、必死になって追いつこうと練習を頑張った。

そのかいあって、ジュニアオリンピックに出るまでには至らなかったけれど、スイミングスクールの選手クラスに入って毎日ゴリオと一緒に練習する事が出来た。