自分の体格と力の強さを子供の頃から自覚してたゴリオは、絶対に自分よりも小さい人間に手を出すような事はしなかった。

どんなに相手が悪くても、じゃれあいと言えるような子供同士の喧嘩でも、例え殴られても、殴り返すような事は絶対にしなかった。

だから子供の頃は、クラスのやんちゃな男子達に意気地無しの"ウドの大木"と言われていた。


だけど私は知っている。


ゴリオが自分の力を自覚して、ちゃんと自制していた事を。


さすがにゴリオが不良に絡まれて怪我をした時は、私も見兼ねて「どうしてやり返さないの?」と聞いたけれど、ゴリオは痣の出来た顔で『だって俺が本気で喧嘩したら相手が死ぬだろ』と笑っていた。


優しい奴なのだゴリオは。

昔から変わらず優しい男なのだ。