まるでゴリラみたいに厳ついからゴリオなのだ。

ちなみにこのあだ名は私が付けた。


「ゴリちゃんそんなに怒らないで」


これ以上怒らせてはゴリオの鼻息がますます荒くなってしまいそうなので、とりあえずもう一度謝ってみる。


『別に本気で怒ってねぇよ』


しょぼくれる私にそう言うと、とりあえず顔上げろと言いながら太くて毛深い腕を伸ばして来る。

俯いたままだった私の頭をゴツゴツした手でわしわしと撫でると、



『いきなりあんな告白して来るなんて何かあったのか?』


とゴリラ、いやゴリオが優しい声で気遣わしげに聞いて来た。

こういうさりげない優しさも昔から全然変わっていない。

身体が大きくて厳つい外見から、一見取っ付き難くて怖い印象を与えてしまうけれど、ゴリオの内面はその名の通りに良男だった。

誰にでも優しくて頼りになって力持ち。

昔から私がゴリオに喧嘩を売るような真似をしても、絶対にゴリオは喧嘩を買う事は無かった。

ただ黙ってこうして私の頭をわしわしと撫でるだけ。

まるで"分かった分かったオマエの気持ちは分かっているよ"とでも言うように。