bitter chocolate

「…ふむふむ、成る程。」

「…。」

「そうなのか。…ん~…。」

先輩は、本を読む時独り言を喋りながら
読む。

それを聞くのも…まぁ、一つの楽しみだ。

本を読んでる先輩は好き。
目がキラキラ輝いてて、本当に楽しそう。

きっと歪んだ心なんて一切無いんだ。

私とは大違い。

そう考えてたら、急にここに居てはいけない
気がしてきた。

「先輩…私そろそろ帰りますね。」

「もう?分かった。」

少し悲し気な目をする先輩。
そんな顔したら駄目です。そんな顔されると、
帰りたくなる。

先輩から目をそむけて、ドアの方を向き、
さようなら、と言って図書室を出た。

「恵実ちゃん、バイバイ。」

先輩の声にもう一度さようならを言いながら、
歩き出した。