「…どういうつもり」



 可憐に笑む彼女の媚態な仕草を見つめながら、僕は言う。

 決して毒々しくはないよう、瑠海のいらぬ不安を煽らぬよう、静かに。



 すると真依子は、ちらりと僕に抱きつく瑠海を一瞥してその薄い唇を開いた。



「フーガ、聴かせて貰おうと思ってきたら、お婆様と瑠海ちゃんがいたのよ」



 名前に反応した瑠海が真依子へと振り返ると、彼女は小さく笑って「ね?」と瑠海に同意を求める。

 ようやく僕から離れた瑠海は、僕を見あげてこくりと頷くとぱたぱたと走って真依子の隣へ飛び乗った。



「お兄もしよー!」



 真依子の手のひらからピースをひとつ取ると、僕を呼ぶ愛おしい妹。

 純真な笑顔でこちらを見て、小さな手でおいでおいでと仕草を見せる。

 僕は心とは裏腹に瑠海に緩く頷いてみせ、彼女らの元へ歩み寄ろうとした。



 刹那、パーカのポケットに納まっていた携帯がバイブを鳴らして着信を知らせる。

 リビングに入ったところで足をとめて携帯を取りだせば、着信は警察署、恐らく後藤さんからだ。



「…はい」

「後藤です。今、お時間大丈夫ですか?」



 仲むつまじくパズルをするふたりを見遣りながら、僕は聞き慣れた爽やかな声に耳を傾けた。