「…まぁ、こちらで少しお調べしてみましょう。接触していたとしても、それだけでは原因とは判断出来ませんからね」
直接真依子と会って、果たして彼は何を感じとったのだろう。
もちろん僕よりも感じるものは違うはずだし、経験上、仕草や言動からいろいろと見抜いてきたはずだ。
それでも確信を持てないのはきっと、怪しくても証拠がないから。
僕だって同じだった。
明らかに真依子の態度は奇怪に満ちていて、何かを見たか、もしくは聞いたに違いないと思う。
なのに証拠という根拠がないがために、僕はその場で足踏みをしながら彼女を観察することしか出来ないのだ。
「それから、こちらをそらくんに渡して欲しいと預かってきました」
ふと、後藤さんがスーツの懐から二つ折りされた白い便箋を取りだした。
差し出された便箋を受け取って何気なくそれを開いてみると、そこにはたった一行、繊細でしなやかな数字が羅列していた。
思わず眉根を寄せる僕に、後藤さんが言う。
「いつでも力になる、と仰ってました」
後藤さんも真依子の意図が読めないようで、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
僕は、視界から携帯番号を消すように便箋を四つ折りにして、パーカのポケットにそれを突っこむ。
