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 次の日。

 瑠海と共に警察署を訪れると、正面玄関を見張る警備員の傍で後藤さんと永瀬さんが待機していた。



「花織ちゃん!」



 ふたりを見つけた瞬間、ぱしっと離れる瑠海の手。

 彼女は、来る途中に摘んだ名前も知らない赤い小花を右手に揺らして永瀬さんへ走り寄った。



(なんだ、仲良くなったのか)



 笑顔を浮かべて瑠海の目線まで屈んだ永瀬さんを見て、僕は少し安堵する。

 瑠海に手放された右手をそっとパーカのポケットに入れて、ふたりを微笑ましそうに見つめる後藤さんの前で足を止めた。



「お待ちしてました」



 爽やかに笑んでみせる後藤さんに、僕は無表情のまま軽く会釈する。



 そのあと、僕なんかに見向きもせず永瀬さんと手を繋いで自動ドアを抜ける瑠海の背中を後藤さんと追う。

 何だかちょっと、永瀬さんに嫉妬した。



 ――ああ、そうか。

 今の瑠海には僕しか頼る人間がいないと同時、今の僕にも、頼る人間は瑠海しかいなかったのだ。