終始穏やかな食事が終わり、真依子は後片付けまで祖母を手伝ってくれた。

 本当に楽しそうに談笑しながらキッチンに立つふたりは羨ましくなるほど輝いていて、いつかまたこの景色を見たいと思った。



 後片付けを終えても尚、真依子は休む暇なく瑠海の相手を嫌な顔ひとつ見せずにしてくれて、瑠海も凄く楽しそうだった。



「真依ちゃん、もう九時だから帰りなさいな。瑠海、お風呂入るよ」



 テーブルで裁縫をしていた祖母は、道具を片付けて真依子に声をかけた。

 最初は駄々をこねた瑠海だったけれど、またすぐ来るからという真依子の言葉に渋々了承して祖母とバスルームへ向かった。



 瑠海のいなくなった静かなリビングで、真依子は塗り絵セットを片付けている。



「…ごめんね。凄く嬉しいみたいで、ずっとうるさかったでしょ」

「ううん。こんなあたしを待っていてくれたのが凄く嬉しかった。それに、瑠海ちゃんと遊ぶのは全く苦じゃないわ」



 何冊かの塗り絵を重ねた上に色鉛筆を乗せた真依子は、僕に目を向けて小さく笑う。

 本心ならば、この上ない幸せだ。

 そう思いながら僕も小さく笑うと、真依子は思い出したように「聞いて、そら!」とソファに深く座り直して僕に少し近づいた。



「真依ちゃん、お腹に赤ちゃんがいたりする?って突然お婆様に言われたわ!」



 大きな猫目を瞠目させた彼女の言葉に、僕は意味がわからずに反射的に眉根を寄せてしまう。