どれほどそうしていたのか。

 大袈裟ではなく、三十分は過ぎたんじゃないかと思う。



 瑠海の泣き声や嗚咽が少しだけ落ち着いたなと感じた頃、弱い力が加わって彼女が僕から離れたがった。

 それを阻止する理由もなく瑠海を解放すると、真っ赤に充血した痛々しい瞳が間近で僕を映す。



「…お兄も、ここ、痛い?」



 久しぶりに言葉を発したからか、掠れた声がそう並べて、瑠海の人差し指が僕の左胸を示した。



 その意味を理解して、ずきりと痛むその場所。

 彼女も胸の痛みを感じていた。その事実が、また僕を苦しめる。



「…痛いよ、凄く」

「…瑠海も」



 微かに唇の端を緩めて言うと、瑠海も小さく頷いてきゅっと唇を結んだ。

 今にも泣き出してしまいそうな表情は僕だけを捉え、縋るものを無くしたかのように立ったまま、瞬きだけを繰り返す。



「ママも、痛い…?」



 涙に濡れた白い頬を親指で拭って上げると、ぽつりと零される小さな声。

 墓石に尋ねたのかと思ったけれど、彼女の瞳は未だに僕を捉えていた。



 何と答えてあげるのが良いのか、肯定も否定も出来ずに口を閉ざしていると、突然瑠海がぶつかるように僕に抱きついた。