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「若かったのにねぇ。残念ね」
「瑠海ちゃんは?そらくんが面倒みるの?」
「…まだわかりません」
会場は、母親の死を嘆く参列者で溢れていた。
母親は、僕とは違ってたくさんの人に愛されていた。
車椅子で参列して下さった患者の方もいて、改めて母親の偉大さを目にした気がした。
通夜が終わり、帰っていく参列者の方々に頭をさげていた僕は近所の方々に捕まって他人事ゆえの浅い会話を交わした。
けれども、こんなことを話している場合ではない。
ここへくる直前まで、手許に何の情報もなく周辺を歩いて真依子を探した。
当然のごとく出会えるはずがなかったし、正直僕はいつになく機嫌が悪い。
「皆様、ありがとうございました。そら、お借りしますね」
数人の婦人に囲まれていた僕を、聞き慣れた穏やかな声が救ってくれた。
振り返ると、喪服を着た背の低い祖母が僕の腕を撫でて婦人たちに頭を下げている。
彼女らはわかってくれたのか定かではないけれど、ぞろぞろと帰路に就きはじめ、僕は小さく安堵の息をついた。
