放課後の教室で、あたしは机に突っ伏していた。


思わず叩いたあとの驚いた表情をした吉良。


ぐるぐるぐるぐる頭の中で何度も思い出してしまう。


「あたし嫉妬なんてしてないし、しかも、もう瑠璃って下の名前で呼んでるし、付き合ってるから当然なんだけどさー……」

どうにも腹が立つ。



「……それを嫉妬と言うのよ。」

話を聞いていた莉菜は呆れた表情で溜め息をした。


「もしかして優希、あんた桜木のこと好きなんじゃないの?」


「はぁ!?そんなわけないじゃん!ただ、あたしは幼馴染みとして、心配してるの。」


「まぁ、どう思おうが、あんたの勝手だけどさ……意地をはると、後悔するよ?」

「意地なんかはってないよ!」

誰もいない教室に響く私の声。

ますます呆れた表情で溜め息する莉菜。




吉良のことは好きだけど、恋愛の意味では好きじゃない。


……はずだ。



ずっと当たり前に隣にいた幼馴染みが、突然、隣にいなくなったから、寂しいだけ。

そうよ。

幼馴染みとして寂しいだけ。


……のはず。



あれ?あたし戸惑ってる?



莉菜の言葉に混乱してるー……?




「優希、いつまで机にしがみついてるのよ。帰るわよ。」

いつの間にか、莉菜は鞄を持って教室から廊下に出ていた。

あたしは、慌てて鞄を持って、さっさっと歩いていく莉菜を追いかけた。