「えー、ちょっと。そこのお兄さんたち?
そこの女の子も嫌みたいだし。
今回は、見逃してくれないかな?」

結構大きめの声で話しかけると、

「んぁ?」
と、3人が振りかえった。
その直後。

「フハヒャヒャヒャ、おーおー、お兄さん。一人でいらっしゃいましたか?」

「ずいぶんな身の程しらずがいたもんでちゅね~」

「お前らそんなやついいから、さっさとやっちまおうぜ。オレさっきからずっとやりたくてしょうがねぇんだよ」

こいつらやっぱりそういう理由か。
俺の体に虫酸が走った。
くそっ、こいつら舐めやがって。
でも暴力は禁物だ。こいつらに効く気はしないがまずは説得。

俺は、もっと大学生らに近づき
「お願いします。このとおり、見逃してください」
と、正座の姿勢から、両手をひざの横の地面につけ、深々と礼をした。

要するに土下座だ。

ここまでしたのに、血も涙も無い大学生の野郎は、

「おいおい、さっきからうるせえんだよてめぇ。ガキは、家に帰ってクソでもしてろ」
と言って、俺の頭を踏みつけた。

おいおい、ちょっと、さっき家から出るときに寝癖直したばっかなのに、また跳ねてきちゃうよ。

そんな呑気な事を思ってると、
「おい、お前ら。俺がこいつを黙らせとっから、お前らはそいつの服を脱がせとけ」

おっと、これはマズイ。前を見ると、あの女の子の猿ぐつわを噛まされた顔も心なしか、こちらに助けを求めてる気がした。

ここまでくればしょうがない。
暴力に訴えても何の負い目も出ないだろう。

俺は、まず頭の上の右足を持ち、おもいっきり捻った。
いきなりの衝撃に大学生は耐えられず、回転しながら地面に倒れてく、そのスキを使い立ち上がった。

運良く大学生がうつ伏せに倒れてくれたためそのまま、持っている右足を変な方向へ軽く曲げてやると、アキレス健近くからゴキュと変な音がした。
これで当分は歩けないだろう。

次は、もう既に女の子の服を脱がせに掛かってるその他の奴等の一人に背後から肘打ちをしかけ、気絶を取る。

最後の一人になった時、相手が自分のポケットに手を突っ込むと、中からは細長い銀の物体  ナイフが出てきた。

素人の使うナイフほど危ない物はない。
「お前調子に乗んなよ。そこでおねんねしてな」

と、こっちにナイフを降りかざしてきた。やばい、切り札だすか。

と、思ったその時。

ゴイーン
鉄と物が当たった鈍い音がしたと思ったら、大学生がナイフを降りかざしたまんま倒れてく、その後ろから一斗缶を持った女の子が真顔で立ちこう言った。

「当然の報いだわ」